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採用単価が上昇している会社が離職防止のために気をつけることとは

 2018/07/29 定着・離職防止 採用 この記事は約 7 分で読めます。
辞めたい社員

よく「1人当たりの採用単価がいくら」と言いますが、離職率を下げることには採用単価を下げるのと同じ効果があります。

 

採用単価とは

お金のマークを持つ男性

 

 

 

 

 

 

 

1人当たりの採用単価とは採用にかけた費用の総額を、実際に採用した人数で割ったものです。

 

採用にかけた費用とは求人サイトの広告費や人材紹介会社への手数料など、社外に支払ったお金だけでなく、人事担当者の人件費など社内の労務コストも含めて考えます。また、雇入れに関わる研修費用もある意味では採用にかけた費用と捉えることができます。

 

いっぽうで離職率はもともと採用単価とは関係ない数字なのですが、どうでしょう。たとえば2人採用して1年後にその2人が活躍している会社と、1人は既に退職してしまい、もう1度採用活動をしなければいけない会社では、実質的な採用単価は違うと思いませんか。

 

離職率の高い会社ほど、これを下げることが「人を採って活かす」という全体のコストを下げることにつながるのは簡単にイメージできますね。

 

人材の流動性が高まることの問題点とは

 

日本では欧米に比べて人材の流動性が低いことが問題だと言われることがあります。流動性が高いほうが良いという理由は2つあります。

 

1つは生産性や競争力が低い会社から高い会社へ、人材の移動がもっと自由に行われた方が経済全体にプラスだということ。もう1つは能力の高い個人が転職しながらキャリアアップを重ねることで、個人の収入が増えていくことに比例して、その人が生み出す価値も高くなり、経済にプラスの影響があるということです。

 

でも、今のように「超売り手市場」のなかでは、あまり能力の高くない(生み出す価値の低い)人材でも、市場原理のもと簡単に転職することができてしまいます。そういう人材は転職によって高い価値を生み出すようになるのではなく、「隣の芝生が青く見えたから」転職して、結局本人のモチベーションもあまり変わらない。そして新しい職場で仕事を覚えるまでの期間も含めると、むしろ全体の生産性を下げてしまうことが多いのではないでしょうか。

 

人材の流動性は高いほどよいというものでもなく、人材によってはある程度の期間ひとつの会社で習熟度を高める(場合によっては終身雇用される)ことの方が、会社にとっても経済全体にとってもプラスな場合が多くあります。

 

それにしても「超売り手市場」の今は、一部の年齢層や職種を除いて、誰でも簡単に転職できる環境ですね。良い人材を採用しようとすると、採用単価は上がるいっぽうです。では何とかして離職率を下げることはできないでしょうか。

 

辞める理由と辞めない理由

辞める 辞めない

 

 

 

 

 

 

会社を「辞める」のか「辞めない」のか、ひとりひとりには必ず理由があります。なぜ「辞める」のか、なぜ「辞めない」のかについて、働くひとの心理に注目しながら少し考えてみましょう。

 

以前の記事でご紹介した「マズローの欲求5段階説」「ハーズバーグの2要因理論」が、このことを考えるヒントになります。

 

辞める理由

辞める

 

 

 

 

 

 

ハーズバーグの言う「衛生要因」や、マズローの「生理的な欲求」「安全の欲求」が満たされていないことが、会社を辞めたいと思うきっかけになります。介護離職のような「辞めなければいけない」場合を除くと、ほとんどがこの理由だと考えられます。

 

具体的には、昨今問題になっている長時間労働のほか給料が低いことや、将来の給料に不安がある(ライフプランと昇給の見込みがマッチしていない)など、労働条件に不満がある場合です。

 

また、最近では労働基準法などのコンプライアンス(法令順守)について、会社の認識の甘さが辞めるきっかけになっているケースが増えています。これは、インターネット上に関連する情報があふれているため、いわゆる「ブラック企業」では働きたくないという意識が以前よりも強くなっていることが原因と考えられます。

 

そしてもうひとつ、職場の人間関係の不満から辞めたいと思うことが多くあります。上司との信頼関係ができていないために、業務上の指示命令や報告・連絡・相談の際に感じるストレスに耐えられなくなるというものです。

 

人間関係の不満には上司だけではなく、同僚との信頼関係ができていないということもあります。この場合は分担する業務の量や質に不満を感じるといったものから、業務とは関係のないところでのいじめや、仲間外れによるメンタルヘルスの不調など、色々な問題を引き起こします。

 

辞めない理由

やる気

 

 

 

 

 

 

実際には「衛生要因」や「生理的な欲求」「安全の欲求」をすべて満たすことはできていないという会社が多いのではないでしょうか。それでも社員が辞めずに働き続けたいと思うのは、「動機づけ要因」があり「尊厳の欲求」や「自己実現の欲求」を満たすことのできる会社です。

 

「動機づけ要因」は具体的には仕事のやりがいです。これは単純にその仕事をすることが好きだとか楽しいというものから、会社や社会への貢献という意味で価値の高い仕事で、やり遂げた時の満足度が高いというものまで、レベルは様々です。

 

また、毎日何か新しい課題に取り組みながら、適度なストレスが掛かり続けるような環境では、夢中で仕事をしているためにそもそも退職について考える暇がないということもあります。

 

難しい課題にチャレンジしてそれを達成することで「評価」を得て、次のステップに進みまた難しい課題にチャレンジするという繰り返しは、自分の成長を実感することにもつながり、仕事のやりがいそのものではないでしょうか。

 

そして、目の前の仕事のやりがいだけではなく、日々そのように仕事を頑張り続けた先にどんな未来が描けるのかというのはとても大事なことです。それが給料なのか役職や責任の重さなのか、あるいは会社の発展なのかは人によって違いがありますが、自分の未来像と会社のそれを重ね合わせて夢を描けるというのは、とても強い動機づけになりますね。

 

社員が定着して辞めない会社にするには

 

離職防止のために給料を上げたり残業を減らそうとしても、短期的には限界がありますよね。辞めたくなる原因をつぶすことも重要ですが、働き続けたくなる要素(動機づけ要因)を強化することも離職防止には効果的です。

 

そもそも会社を辞めて、転職をすることは大きなストレスを感じるもので、本当は辞めずに続けて働くほうが誰でも楽なのです。動機づけ要因がしっかりしている会社では、衛生要因への不満はある程度カバーすることができるものです。

 

それでも長い目で見た時には、職場の人間関係を含めてしっかり衛生要因の改善に取り組むことが、「良い人材」「稼ぐ人材」を定着させて、会社の競争力を高めることになるのは間違いありません。それによって衛生要因が少しずつ改善するような、好循環を作っていきたいですね。

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