マズローの欲求5段階説を理解すると社員のやる気のツボが見えてくる
マズローというアメリカの心理学者が唱えた「欲求5段階説」を理解すると、社員のやる気のツボが見えてきます。
マズローの欲求5段階説とは
人は低いレベルの欲求が満たされると、より高いレベルの欲求が生れてくるということをマズローは唱えました。
今回はこのマズローの欲求5段階説について、社員の仕事に対する欲求という視点で見ていきます。このことをよく理解していると、離職の防止やパフォーマンスの向上など今いる社員を活かすことに役立つだけでなく、新卒採用や中途採用にも効果的な手を打つことができます。
それでは第1段階の基本的な欲求から見ていきましょう。
生理的な欲求
第1段階の生理的な欲求とは、お腹がすいたからご飯が食べたいとか、眠いから寝たいというような、生きるために最低でも満たしたい欲求です。これを社員が仕事に求めることに置き換えると、最低限「食っていけるだけの収入」といったところでしょか。
これが満たされると次のレベルの欲求が生れてきます。
安全の欲求
第2段階の安全の欲求とは、例えば雨風をしのいだり、誰かに襲われる心配のないよう自分の部屋(家)で暮らす事などです。安定した収入や保険に加入することなども、将来への不安のない状態という広い意味で、安全の欲求と考えられます。社員が仕事に求めることに置き換えると、より高額な給料や継続して働ける環境などでしょうか。
ここまでは、仕事に求めることのうち主に給料(収入)への欲求と考えられますね。
所属と愛の欲求
食うに困らず安全と安心が保障されると、それだけでは満足できなくなり次のレベルの欲求が芽生えてきます。
第3段階の所属と愛の欲求は社会的欲求とも言われ、自分ひとりの世界ではなく他者を含めた社会の中で、自分の居場所を求める気持ちです。これを社員が仕事に求めることに置き換えると、組織の中での自分の役割が明確になっていて、そこで自分が必要とされていることが実感できるといったところでしょうか。
つまりある程度の収入が保証されると、社員は仕事に対して「お金」以外のものを求め始めるということですね。
尊厳の欲求
さらに高いレベルの欲求として第4段階の尊厳の欲求があります。これは第3段階の所属と愛の欲求のように自分の居場所があるだけではなく、社会の中で自分が認められ尊敬されることを求める気持ちです。社員が仕事に求めることに置き換えると、上司から仕事の成果を高く評価されることや、会社の業績に自分が貢献していると実感できることなどがこれにあたります。
自己実現の欲求
低いレベルの欲求が満たされると、人はより高いレベルの欲求を持ち始めます。最も高いレベルの第5段階の欲求は自己実現の欲求です。これを社員が仕事に求めることに置き換えると、他者からの評価だけでなく、自分のしている仕事そのものの意義を見出して、それを自分自身が高い価値として感じることといえるでしょう。
マズローの唱えた欲求5段階説を理解して、社員が仕事をすることへの欲求を満たすことができれば、意欲的な社員は自分から進んで高いレベルの仕事をするでしょう。そのような職場は自然に有能な人材が集まるもので、採用の場面でも「選ばれる会社」になることができます。
逆にそのような環境がなければ、意欲的な社員ほど、高い欲求を満たすことのできる会社を求めて、転職の道を選んでしまうかもしれませんね。