日本のものづくりの救世主
先日、中小企業診断士のセミナーに参加し、ライフスタイルアクセント株式会社代表取締役CEOの山田敏夫さんの講演を久しぶりに聞く機会があり、とても良いお話だったので今回はそのことについてお伝えします。
ファクトリエ(Factelier)
ライフスタイルアクセント株式会社は、ファクトリエ(Factelier)という「メイドインジャパンの工場直結ファッションブランド」を展開するベンチャー企業です。
初めて山田さんの講演を聞いた時に、その志の高さと行動力に強い感銘を受けました。そして今回また山田さんのお話が聞けるということで、迷わず申し込んで心待ちにしていました。
山田CEOの想い
山田さんは熊本の老舗婦人服店の生まれですが、日本の縫製産業は下請けとして世界の有名ブランドの仕事を「安く」請けている限り未来はないと考え、「下請が自分で立って走れるビジネスモデル」を編み出して実践している方なんですね。
実際に、日本国内のアパレル品の国産比率は、1990年の約50%から2014年には3%まで下がってしまい、職人はなんと8百万人も少なくなったそうです。
世界に目を向けても縫製産業は最下層の仕事になっていて、児童労働の問題もあります。下請産業であるための悪循環から抜けられなくなっているので、これを「作り手」「使い手」「伝え手」の良い関係性を作ることで「正の循環」にして解決するために、山田さんはいろんな取り組みをしています。
例えば「希望小売価格」ではなく「希望工場価格」をもとに小売価格が決まる仕組みや、地方の縫製工場の職人さん(作り手)が、週末に都内でお客様(使い手)と触れ合うイベントを開催するなど、とても斬新なアイデアを実践しています。
この取り組みにより起きた事とは
山田さんの取り組みにより、工場の社員の方たちは「自分たちが売りたい価格でもお客様が満足できる商品」を真剣に考えるようになりました。つまりこれまでの「発注された内容を、ただただこなすだけの作業(それもきわめて薄利の)」から、作り手の職人自身が「お客様に提供する価値を考えビジネスとして成立させる」ように変わり、結果が出始めたのです。
また、職人さんとのイベントに参加して作り手の想いに触れることで、使い手はファクトリエの製品の品質が優れているというモノとしての価値以上の「価値」を感じて、ファクトリエが好きになり「満足度が上がる」ことに繋がっています。
熱血イケメンの山田CEO
ただ、山田さんが29歳のときに資本金50万で始めた当初から、わずか6年間のあいだにビジネスとして自走できるようになるまでには、相当な苦労があったようです。日本中の縫製工場や、前工程の糸・染め・繊維の工場を回ったり、世界的にも超有名なアパレルブランドのトップの方々に、直筆の手紙を何度も送って協力者になってもらったり。
そういった行動力と執念は「熱血漢」という言葉がぴったりなのですが、お会いするとその容姿はまさに「イケメン」で、この落差がまた印象的です。そしてまだ35歳という若さの山田さんは私が尊敬する経営者の一人です。
山田さんのお話はとてもユーモアにあふれていて、そういった意味でも何度も聞きたい講演であり、とても充実した時間を過ごしました。
日本のものづくり応援団
そんな山田さんの取り組みをまだご存じない方で、ご興味があるようでしたら下記リンクをクリックしてみてはいかがでしょうか。