応募を増やすために知名度の低い中小企業でもできることとは
知名度の低い中小企業が、人手不足を解消するために求人広告を作るときに、応募者を多く集めるためにはどのような情報を伝えると良いのでしょうか。
今回は人手不足企業の経営者や人事担当者の方に向けて、採用の目標を達成するためのヒントをお伝えしていきます。
Contents
「辞めない採用」4つのポイント
まずはじめに、「辞めない採用」でしなければいけない事には大きく4つのポイントがあります。
この4つのポイントをあなたの会社でも実践すれば、知名度が低い中小企業でも安定して社員を採用・定着できるようになります。
見つけられる
求職者にあなたの会社を見つけてもらう。
知名度が低い中小企業にとって、見つけてもらう(気づいてもらう)ことが第一関門になります。3つのポイントをおさえることでこの関門を突破します。具体的にはのちほどお伝えします。
選ばれる
数ある会社の中からあなたの会社を選んでもらう。
求人の倍率が高いということは、求人をしている沢山の会社の中から、あなたの会社を選んでもらう必要があります。
求職者にとっての5つの選択基準を理解することで、選ばれる会社を目指します。これものちほど詳しくお伝えします。
見極める
辞めずに貢献し続ける人を見極める
辞めさせない
採用したひとを辞めさせない
この2つについては、「やる気ある人材を採用するためにやることとやってはいけないこと」でお伝えしているので、そちらをご参照ください。
それでは、さっそく「ポイント1」求職者にあなたの会社を見つけてもらう、について詳しく見ていきましょう。
募集広告を作る際に気を付けることとは
採用の手段にはハローワークのほか民間の有料求人広告を出す方法や、人材紹介や紹介予定派遣など色々あります。
このブログを書いている時点で、中途採用の「マイナビ転職」には約10,000件、新卒採用の「リクナビ2019」には約30,000社の求人広告が掲載されています。
もしあなたの会社がこれらのメディアを使って求人をするのであれば、まずはこの膨大な数の会社の中から求職者に「見つけてもらう」ことが必要です。
WEBの求人サイトを利用する場合「見つけてもらう」ためには広告費をかけて上位表示させるという方法もあります。
でも、確実に上位に表示させるためには高い広告費を掛ければ良いのですが、採用費用をいくらでもかけられる中小企業は少ないのではないでしょうか。
では、同じ費用でも「見つけられやすい」求人広告のポイントは何でしょう。
それはインパクトのあるキャッチコピーです。
キャッチコピーが求職者の目にとまるようなものでない限り、「見つけてもらう」ことが難しくなります。
そうすると細かい仕事内容や募集条件を色々と書いても、誰からも読まれないまま終わってしまいます。
インターネットが発達して誰もがスマホで情報収取する今は、情報が氾濫しているために取捨選択のために時間をかけなくなっています。
ハローワークも含めてWEB上であなたの会社の求人広告を「見つけてもらう」ためには、インパクトのあるキャッチコピーが欠かせません。
あなたやあなたの会社の社員が次の3つの視点を外さずにしっかり考えて、インパクトのあるキャッチコピーを作ることを試みてください。
求職者に見つけてもらうための3つの視点
情報があふれかえる中で求職者は、一つひとつの求人情報をじっくり読むことは絶対にありません。
そんな求職者が目にとめやすいキャッチコピーには、共通した3つの視点で書かれているという特徴があります。
それは
1)メリットが提示されている。
2)具体的な数値で表されている。
3)それらの具体的なメリットは求職者の視点で書かれている。
という3点です。
上記3点の視点がないとこんな感じのコピーになります。
《失敗例》
「働きやすい笑顔の絶えない職場です!」
「伝統と安心の地域密着企業!」
「成長意欲のある方大歓迎!」
そして、「メリット」「具体性」「求職者の視点」を意識すると・・・
《成功例》
「有給休暇取得率60%超!」
「顧客満足度業界1位!お客様に喜ばれる仕事です!」
「会社指定の資格取得費用は全額補助!」
少ない文字数を一瞬で読んでもらうためのポイントです。
キャッチコピーを書くときに絶対にしてはいけない事
そんなインパクトのあるキャッチコピーを書くときに、絶対にしてはいけない事があります。それは「事実よりも良く見せようとする」ことです。
決して「倫理的」な話をしているのではありません。
「事実よりも良く見せようとする」と、採用で無駄なお金を使うことになるからです。
いくら人が集まらない・採用が上手くいかないからといって、「事実よりも良く見せた」言葉につられて入社したひとは必ず次のどちらかになります。
1)話が違うと言ってすぐに辞めてしまい、採用に掛けたお金と時間が水の泡・・・
2)話が違うと思いながら次の仕事も見つからなく、仕方なく我慢しながらダラダラと、やる気なく働く。
1)もひどいけれど2)のほうは絶対に避けたいですね。
これは、キャッチコピーに限った話ではなく、労働条件の提示など細かい部分でも同様ですが、実際の運用にはちょっとコツがありますので、別の機会に詳しくお伝えします。
広告会社を「利用」しても「頼ってはいけない」理由とは
求人サイトを販売している広告代理店の収入源は何でしょう。
たとえば、あなたの会社が支払った広告費ですよね。
広告を出しても応募者が少なかったり、応募者の質が悪く採用につながらなかったら、もうその広告は使わないかもしれません。
だから広告代理店も「効果的」な広告となるように、色々なアドバイスやノウハウを提供してくれるでしょう。キャッチコピーのほか写真や記事の内容についても、様々なノウハウを持っているのが広告代理店です。
ただ、求人広告を出す企業の全てが採用に成功して、定着率も100%に近かったらどうなるか考えてみましょう。
彼らの商売を否定するつもりは全くありませんが、事業の構造上「定着率が上がるような採用」を推奨する動機が彼らにはないのです。
新卒採用と転職サイトを同じ事業者が運営していることは、突き詰めて考えれば矛盾をはらんでいます。
では、広告代理店の言うことは聴いてはいけないのか。
決してそんなことはなく、彼らのノウハウを有効に活用して効率よく広告を作成することは重要だけれど「頼り切りではいけない」ということです。
彼らからは、定着率を上げる本当の方法は絶対に教えてもらえません。
それでは次に、「ポイント2」数ある会社の中からあなたの会社を選んでもらう、について詳しく見ていきましょう。
選ばれるための3つの視点
ここまで「見つけてもらう」ためにインパクトのあるキャッチコピーが大切だというお話をしました。
では、あなたの会社を「見つけた」求職者はみんな応募をするのでしょうか。
求人をしている会社があなたの会社だけでない限り、求職者は必ず他社と比較します。その時あなたの会社が「選ばれる」理由は明確でしょうか。
つぎの3つの視点であなたの会社が求職者から「選ばれる」理由を明確にしておかないと、実際の応募には至りません。
1)誰に応募してほしいのか?
2)その人はどのような就職を希望しているのか?
3)その人が他社ではなくあなたの会社を選ぶ理由は?
1)の「誰に」については採用を検討する場合、一番初めにしておく「人材要件」を明確にするということです。営業の担当者なのか、現場の作業員なのか、総合職なのかなど人材要件を明確にします。ここでは「ターゲット」ということにします。
それが明確になったら次に2)のその人はどのような就職先を望んでいるのかを検討します。
たとえば成果の違いをしっかり評価してほしいのか、私生活を大事にしたいから残業が少ない職場を望んでいるのか、などです。
そして最後に3)その人の希望する点で、あなたの会社が他社と比べたときに優位性が明確になっているのか?ということです。ここでは自社の「強み」ということにします。
ひとつ例をあげてみましょう。仮にA社としましょう。
現場の作業員の退職に伴い欠員補充をするので1)ターゲットは「安定して長く務めてもらえる既婚の30代~40代の男性」としたとしましょう。
すると2)ターゲットは「家族との時間を大切にしたいと考え、残業や休日出勤の多かった前職を辞めて転職活動をしている。」と想定します。
そして3)A社は業界平均より残業や休日出勤が少ないことが特徴なので、「休日出勤は原則なし・残業は月平均10時間程度」ということを、「選ばれる理由」としてアピールすることができます。
この1)~3)の関連性がしっかり検討されていないと「選ばれる」求人にはなりません。
たとえば、1)のターゲットが「成果を出してとにかく稼ぎたい20代の営業担当者」なのに、上記の3)「休日出勤は原則なし・残業は月平均10時間程度」は「選ばれる理由」になりません。
求職者が会社を見る5つのポイント
では、求職者はどのような点で他社とあなたの会社を比較しているのでしょうか?自社の「強み」を考える際の参考にしてみてください。
比較するポイントは次の5つにまとめることができます。
労働条件
中途の場合は特に労働条件を気にしています。給与・勤務時間・残業の有無・休日出勤の有無・有給休暇の取得率などのほか、最近はインターネットで様々な情報を手に入れることができるので、コンプライアンスについても細かく見ている求職者が多くなっています。
給与など急には改善できない点はともかく、コンプライアンスなどは今のうちに改善しておくことで、既存社員が労働基準監督署へ通報するリスクを回避する意味でも、この機会にいちど確認しておくのも良いかもしれません。
人間関係
特に主婦のパートを多く使う職場などは要注意です。なかなか難しい問題ですが、こんな例があります。
ある会社では、主婦のパートが働きやすいように、それぞれの家庭の事情に配慮して、時間や休日を柔軟に対応するというのが経営者の方針でした。
ところがこの柔軟さを「エコヒイキ」感じるパートがいたために、かえって人間関係がぐちゃぐちゃに・・・。
この問題が発覚してからは、不公平が無いように配慮するだけでなく、経営者が率先して「お互い様」の精神や「譲り合うこと」を職場の風土として定着させるように、常日頃から言って聞かせることに努めた結果、今ではそんな人間関係のトラブルもだいぶ少なくなりました。
成長性・将来性
会社が成長して待遇が少しずつ良くなるだけでなく、社員が辞めずに定着したときの昇進先(ポスト)を作ってあげるためにも、会社の成長は欠かせません。
新卒採用はもちろんですが、中途採用の場合にも職場の将来性に不安を感じて転職を決意するということは少なくありません。
このとこと絡めて、将来のビジョンを日頃から経営者と社員が共有することができれば、目標の設定や管理の面でも、納得感のある環境を作ることができます。
仕事そのもの・やりがい
仕事そのものの楽しさから、仕事を通じての自分の成長を感じられるか、お客様に感謝の言葉をかけてもらえるかなど、「仕事のやりがい」です。
たとえば間接部門だからお客さまの声など聴く機会がないという場合などは、現場から情報をもらうとか、アンケートを採るなどお客様の声を伝える仕掛けを作ると、既存社員にも「仕事のやりがい」を感じてもらえるかもしれません。
経営理念の浸透
採用時に経営理念を伝えることは大切なことだとよく言われます。でも、これは正解でもあり大きな間違いでもあります。
経営理念を伝えて入社したけれど、「今いるほとんどの社員は理念を実践していない」という会社が多くあります。
そんな会社に入社したひとは先輩たちを見てどう思うでしょうか。それくらいだったら、理念は言わない方がよほど良いでしょう。
つまり経営理念を現場にしっかり浸透させることがとても大事だということです。
求職者はここで判断している
求職者にとって5つのポイントのうち1から3については実は「良くすれば良くしただけ働きたい」ということにはなりません。
この「労働条件」「人間関係」「成長性・将来性」に不安があるとき、「この会社は辞めておこう」という除外するための判断基準になるということです。
あるいは、給料の金額や休日の日数などは求人サイトで「検索」をする際に一定の条件を設定すると、そもそも検索の対象にすらならないということです。
ですから、この1から3については、他社と比較して悪すぎる場合「選ばれない」という問題がありますが、良くすればしたほど採用が上手くいくというものでは無いので注意が必要です。
求職者にとってこの3つの要件は最終的に自分を納得させるための要素になります。
高額商品の買い物の意思決定に似ています。
採用で一貫してやり続ける事とは
採用の担当者や面接の担当者の仕事とはなんでしょう。
- 応募者の書類選考を進める
- 面接の日程を調整する
- 面接で応募者を見極めて合否の判定をする、
等々ですが、このような応募者とのそれぞれの接点がある度に、やり続ける大事な仕事が
- 「応募者をあなたの会社に惚れさせる(魅了する)」ことです。
もちろん、会社そのものや、社長さんの人柄で魅了させるのですが、応募者にとって情報が少ない中での、数少ない接点である担当者の言動には大きな影響力があります。
営業経験がなくバックオフィスで働いてきた社員が、採用の担当をすることもあるかもしれません。
でも、採用の仕事は人と人とをつなぐ仕事なので営業のようなもの。相手の心の機微を感じ取りながら、雇用契約までの一つひとつの接点での気配りが大事です。
面接の場面以外はそれほど難しいことはありません。
例えば「レスポンスは素早く」とか「メールと電話は最適な使い分けをする」など、営業の基本行動と同じように考えれば大丈夫です。
面接で応募者を見極めることについては、改めて詳しくお伝えしますが、「見極める」ことと「魅了する」ことを同時にするのが、面接担当者の大事な役割だということは忘れないでください。
面接では応募者のスキル・経験・人柄・本心などを冷静に見極めつつ、同時に相手の感情に訴えかけて魅了するというなかなか難しいテクニックが求められます。
新卒採用と中途採用はここが違う
新卒採用と中途採用について、応募者の置かれている環境や、心理状態の違いや特徴という点について触れてみたいと思います。
新卒採用の場合は、「就職活動」という一大イベントの初めのころは「自己分析」や
「業界研究」などといったフレームワークを用いて、仕事を選ぶということに体系的に取り組むのが一般的です。
ただ、通常はアルバイト以外に働いたことの無い人にとって、仕事や職場・会社に求めるものは、「想像」できる範囲でしか考えられないものです。
まだ漠然とした職業観しかない中で、条件面よりも自分が「やってみたい」仕事や「どんな事業か」というような目線で会社を比べることが多くなります。
いっぽう、中途採用の場合同じような視点で「やりたい仕事」「勤めたい会社」という見方もしています。
そのうえで、本人が自覚しているかいないかは別として、「前の会社を辞めた理由」を避ける意識が強く働きます。
たとえば前職では残業がとても多く、プライベートを犠牲にすることが嫌で辞めたのであれば、新たな職場には「残業が少ないこと」を望むでしょう。
中途採用の場合このようなネガティブな要素にこだわりながら転職活動を進めています。
応募者の最後の判断基準とは
応募者は最終的にどんな判断基準で会社を決めるのでしょう。
大きく影響するのが、さきほどお話した5つのポイントのうち「仕事そのもの・やりがい」と「経営理念とその浸透度」です。
理念への共感や仕事のやりがいは、感情に働きかけるという意味からも、あなたの会社を「選ぶ」という点でとても大きな要素になります。
ここで、感情を動かすことができれば、あとは条件面で一定レベルを超えていればあなたの会社に「入りたい」という気持ちがほぼ固まるでしょう。
感情を動かすという意味では経営者のこれまで歩んだストーリーや、これから一緒に歩みたいという夢を語ることはとても効果的です。
そのストーリーに、これまで乗り越えてきた苦労などがあると、感情移入がしやすくより効果的です。
できればこのあたりの事は経営者から直接伝えてあげてください。他社と比較されている場合などは最後の決め手になります。